循環器内科
●循環器内科の診療について

循環器専門医が高血圧、動脈硬化症、狭心症、不整脈、心不全など、循環器疾患の全般を拝見いたします。とくに心不全後の再入院を防ぐための、細やかな薬剤調整が可能です。
また循環器希少疾患のスクリーニングや、複数の診療科をまたぐような ご病状も管理しております。
●ご相談の多い症状・お悩み
●高血圧
●動悸(胸がドキドキする)
●脈が乱れたり、飛んだりする
●歩行中や運動時に息切れする
●横になったときなどに息苦しくなる
●胸の痛み
●胸が締め付けられるような違和感
●めまい・ふらつき
●気を失ったことがある
●手足や顔面、首などのむくみ
●心電図や胸部X線検査で異常を指摘された
●心雑音を指摘された
●複数の病気を患っていて、総合的に診てもらいたい
●循環器疾患治療後の定期的な診察、フォローアップを受けたい



●高血圧
高血圧とは
高血圧とは、血圧が慢性的に正常範囲を超えて高い状態を指します。
放置すると動脈硬化が進み、脳や心臓などに深刻な影響を及ぼす原因となります。

高血圧の基準
診察室で計測する場合は、
(最高血圧)140/(最低血圧)90mmHg以上、
ご自宅で計測する場合は、
(最高血圧)135/(最低血圧)85mmHg以上
が高血圧となります。

●動脈硬化症
動脈硬化とは
動脈硬化は、動脈の血管壁が老化して硬くなるだけでなく、血管の内側にも脂肪のかたまりがこびりついて血行が悪くなり、血液が詰まりやすくなる状態です。
高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などは動脈硬化の危険因子であり、生活習慣病の方は動脈硬化を加速させてしまいます。
動脈硬化は無症状のため、多くの方が気がつかず放置してしまいます。その結果、血液の通り道が狭くなったり、血栓ができてつまったりしてしまい、ある日突 然、心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる怖い病気を引き起こします。

頸動脈エコー検査
頸動脈は、脳に血液を送り込む血管です。そのため、頸動脈の動脈硬化の有無、血管の詰まり具合、プラークの状態を調べることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いかどうかがわかります。

●狭心症
狭心症とは
狭心症とは、心臓の冠動脈が狭くなることで、心筋への血液供給が一時的に不足し、胸部に痛みや圧迫感などの症状が起こる病気です。これは心筋梗塞の前段階 であることもあり、早期発見・早期治療が重要です。
狭心症の主な症状
運動時や労作時に
●胸の痛みや圧迫感
●息切れ・息苦しさ
を感じ、安静にすると症状が落ち着きます。


狭心症の予防・治療
狭心症の治療は、薬物療法、カテーテル治療、バイパス手術などがあります。
薬物療法のみであれば、当院で治療が完結しますが、カテーテル治療やバイパス手術を希望される場合には、施行可能な施設へご紹介いたします。
動脈硬化の予防となる生活習慣(禁煙、適度な運動、バランスの取れた食事、肥満対策、高血圧・糖尿病の管理など)も大切になります。
●不整脈
不整脈とは
不整脈とは、心臓が正常なリズムで脈を打たなくなる状態を指します。
不整脈には、脈が速くなるタイプ、遅くなるタイプ、規則的なもの、不規則なものなど、さまざまな種類があります。早急な治療が必要なケースもあれば、特に問題なく経過を見守ってよいものもあり、対応はその種類や症状によって異なります。
不整脈の検査
当院では通常の心電図検査のほか、長時間記録心電図検査が可能です。
これらの検査により的確な診断・治療が可能となります。
最も患者数の多い「心房細動」
危険な不整脈の中でも最も多いのが「心房細動」という不整脈です。
通常、心臓は電気信号によって規則正しく収縮を繰り返しています。しかし、心房細動では、この電気信号が何らかの原因で乱れ、心房がしっかりと収縮せず、けいれんするように小刻みに震える状態になります。その結果、脈が不規則になり、動悸や息切れ、倦怠感などの自覚症状が現れることがあります。


心房細動で特に注意すべきなのは、その症状そのものよりも、脳梗塞を引き起こすリスクがある点です。
心房細動によって心房内の血液の流れが滞ると、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。この血栓が血流に乗って脳の血管をふさいでしまうと、「心原性脳梗塞」と呼ばれる脳梗塞を引き起こします。
心原性脳梗塞は、他のタイプの脳梗塞と比べて重症化しやすく、命に関わることや重い後遺症が残る可能性が高いため、適切な予防と治療がとても重要です。そのため、抗凝固療法(血液を固まりにくくする治療)が必要とされます。
不整脈の治療
不整脈の種類や自覚症状、重症度、基礎心疾患の有無(心筋症、心筋梗塞後、心臓の機能低下など)、合併症の有無、患者さんの生活習慣など、様々な要素を総合的に判断して決定します。
薬物療法
薬物療法では、主に頻脈性不整脈の発作を抑える抗不整脈薬が使われます。
中でも頻度の高い心房細動では、拍動を正常に戻す「リズムコントロール」や、心拍数を抑える「レートコントロール」が行われます。
また、心原性脳梗塞を防ぐために、血栓予防として抗凝固薬の使用も検討されます。
カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーションは、心臓にカテーテルを挿入し、高周波電流で不整脈の原因を焼灼する治療法です。
発作性上室性頻拍や特発性心室頻拍、心房粗動では根治が期待できます。
近年では心房細動にも適用され、治療効果も向上しています。
ペースメーカー
徐脈性不整脈でよく用いられるのがペースメーカです。これは人工的な電気刺激で心拍数を保つ装置で、洞不全症候群や房室ブロックに伴うめまい・失神・心不全などの症状がある場合に検討されます。
植え込み型除細動器(ICD)
AED(自動体外式除細動器)の体内版にあたる装置で、突然死の原因となる心室頻拍や心室細動などに対応します。
ペースメーカと同様に体内へ埋め込んで使用されます。
●心不全
心不全とは
心不全とは、心臓の病気や高血圧などが原因となり、心臓の機能が低下している状態のことです。
十分な量の血液を全身に送れなくなり、また、肺や肝臓などに血液が滞ってしまうため、様々な症状が引き起こされます。
心不全の主な症状
●息切れ、動悸、体のだるさ
●むくみ・体重の増加
●呼吸困難(肺うっ血)
●食欲不振・腹部膨満感
心不全の治療
薬物療法
心不全の治療法は、近年ますます多様化しています。
お一人おひとりの症状や体の状態に合わせて、さまざまなお薬をきめ細かく調整しながら治療を行います。

目に見える症状 への治療
患者さんご自身が自覚できる症状(息切れやむくみなど)を和らげるための治療です。
●うっ血(息苦しさ、むくみ)の解除
・利尿薬
・血管拡張薬 など
●ポンプ機能低下(疲れやすさ)の補助
・強心薬 など
目に見えない水面下への治療
自覚することが難しいものの、病気の根本に働きかける治療です。
生命予後の改善や再入院のリスク軽減につながります。
●心不全の悪化を遅らせる治療
・ACE阻害薬/ARB/ARNI
・β遮断薬
・SGLT2阻害薬
・抗アルドステロン薬
・sGC刺激薬
・HCNチャネル阻害薬
など
